「たらしの城」佐々木功著
「たらしの城」佐々木功著
織田家の足軽組頭まで出世した木下藤吉郎だが、組頭とは名ばかりで家来は1人もいない。従うのは弟の小一郎だけだ。桶狭間で今川の首を取った信長は、残る宿敵の斎藤家を下すため、美濃に繰り返し兵を出すが、稲葉山城を奪うことはかなわない。
永禄3年8月のこの日も美濃に攻め入り、敗走した信長軍に留守居のはずの藤吉郎もいた。稲葉山城を下す手掛かりを探すためだ。敗走中、百姓になりすました藤吉郎は木曽川の川辺で釣りをする若者と遭遇。若者との話から、藤吉郎は妙案を思いつく。清洲城に戻った藤吉郎を出迎えたのは、足軽長屋の隣に住む前田又左衛門利家だった。藤吉郎は、信長の怒りを買い謹慎中の又左に例の計画を打ち明ける。
「墨俣一夜城」で世間の度肝を抜いた若き秀吉の活躍を描く時代小説。
(光文社 880円)