著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

【追悼】曙太郎(中)師匠との確執、年寄株への高いハードル、知名度を利用した相撲協会の思惑

公開日: 更新日:

番外編

 2001年の初場所を最後に、現役を退いた第64代横綱・曙太郎に、日本相撲協会は功労金1億円を贈っている。初の外国人横綱に対し冷淡だった協会も、若貴兄弟と相撲人気を牽引した功績までは無視できなかったということだ。

 当然のように引退後は年寄名跡を取得して親方として部屋を起こすことが予想された。親方となる資格は十分にあったし本人もそれを望んでいた節もある。でなければ現役時代の1996年に帰化などしないだろう。

 しかし、一番の難題は年寄株は譲渡されない限り取得できないことにある。2人目となる外国人親方の誕生に、譲渡を名乗り出る年寄がなかなか現れなかった。もちろん、タイミングもあったろうし、高砂一門の事情もあったろうし、師匠である元高見山の東関親方との不仲も背景にあったはずだが、真相はわからない。ただ、筆者が見た限り理由はそれだけではなかったのではないか。外国人親方に部屋を起こさせるのは、我々の想像以上にハードルが高いものかもしれない。

 そこで、引退後は相撲協会に残り、横綱の特権である現役のしこ名である「曙親方」として、東関部屋付き親方としてかつての弟弟子の指導にあたるしかなかった。すなわち、師匠・東関親方の配下につくことで、年寄名跡の譲渡を待つ道を選んだということだ。伝えられてきた2人の関係性を思えば、相当なストレスだったのは間違いない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  3. 3

    松下洸平“電撃婚”にファンから「きっとお相手はプロ彼女」の怨嗟…西島秀俊の結婚時にも多用されたワード

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  1. 6

    (1)広報と報道の違いがわからない人たち…民主主義の大原則を脅かす「記者排除」3年前にも

  2. 7

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  3. 8

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  4. 9

    自民党「石破おろし」の裏で暗躍する重鎮たち…両院議員懇談会は大荒れ必至、党内には冷ややかな声も

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」