石原さとみ「missing ミッシング」と杏「かくしごと」…母になった30代女優2人の転機と新境地

公開日: 更新日:

 5月17日に公開された石原さとみ主演の映画「missing ミッシング」。これは失踪した幼い娘を捜し続ける母親・沙織里を主人公に、夫との娘捜しに対する温度差の違い、時が経つにつれて興味本位の報道へと変わっていくマスコミの対応、沙織里がアイドルのコンサートに行っていた間に娘が失踪したことからSNSで高まる彼女への誹謗中傷などによって、ヒロインの心が壊れていくさまを描いた、吉田恵輔監督による人間ドラマである。

■吉田監督に「使ってください」と直談判

 心の焦りによって夫や唯一定期的に失踪に関することを扱ってくれるTVマンにつらく当たり、不安が増すと彼らにすがるという、情緒不安定な沙織里の目まぐるしく変わる精神状態を、石原はまさに体当たりで演じている。彼女は6年前、吉田監督に「自分を使ってください」と直談判して今回の出演につながったそうだが、直談判した理由は「吉田監督なら、自分を変えてくれると思った」からだとか。確かに監督はこれまで、「ヒメアノ~ル」(2016年)で森田剛に不気味な快楽殺人犯を演じさせ、金で買われて日本の農村へやって来たフィリピン人の花嫁を挟んで、安田顕の息子と木野花の母親が愛に満ちたバイオレンスを繰り広げる「愛しのアイリーン」(18年)など、人間の奥底に潜む暗部をえぐり出した快作を作ってきた。

 今回の映画でも石原に、娘のためならなりふり構わず行動する、周りが見えなくなったヒロインを演じさせ、彼女の新境地を引き出している。石原は撮影前、入念に役づくりをするタイプの女優だが、ここではふっと娘への感情があふれ出てくる場面など、事前の計算だけでは測りきれないエモーショナルな演技が印象的。これによって彼女は演じる役をきっちりこなす女優から、もっと幅のある表現者へと育っていくかもしれない。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  4. 4

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

  5. 5

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  1. 6

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  2. 7

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  3. 8

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも