漫画家・倉田真由美さん「人生を変えたのは無名の私にかかってきた一本の電話」

公開日: 更新日:

倉田真由美さん(漫画家/53歳)

 漫画「だめんず・うぉ~か~」で知られる漫画家の倉田真由美さん。昨年2月にがんで亡くなった、夫で映画プロデューサー、コラムニストの叶井俊太郎さんの闘病を書いた著書「抗がん剤を使わなかった夫」が話題になっている。倉田さんに人生の忘れられないシーンを聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 私は就職氷河期の世代です。大学は出たけど、就職活動がうまくいかなくて行き場がない時代でした。それで好きな漫画で何とかしようと、描いて出したところ、雑誌で賞をいただき、デビューは割とスッといきました。大学卒業と同時期です。ただ、デビューはしたけれど、そのまま食べていくことができるわけじゃない。仕事がない状態が数年続き、アルバイト、今でいうフリーターでつないで、これから先、どうなっちゃうんだろうと不安な日々を送っていました。

 そんなある時、単行本を出したこともない無名の漫画家に、何の縁もない週刊「SPA!」から「連載をやりませんか」というお話をいただきました。その少し前に、読みきりの旅もののエッセー漫画の短編を描いたのですが、それを当時の編集長がたまたま読んで、「この人に次の連載を任せてみたら」という鶴の一声で決まったんです。

 その6、7ページの漫画を読んでくれなかったら、その漫画を描いていなかったら、今の私はないです。週刊誌の連載って、無名の人にポンと頼むなんて、ないじゃないですか。普通は編集会議に何度もかけたりしてやっと通るかどうか。でも、私にとって週刊誌の連載は喉から手が出るほどほしかった仕事です。お話をいただき、ここで頑張るしかないと思いました。それで始めたのが「だめんず」です。

 私の人生を変えたのはその方、編集長にいただいた一本の電話ですね。どんなふうに言われたのかな。「お願いします」と言われただけだった気がします。お会いしたのは打ち合わせの時だけ。それが初対面で、それっきりです。会社を辞められたので、その後のことはわかりません。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い