芸人の結婚で“ガチ恋”離れが加速中。非モテ「マユリカ」中谷は救世主となるか

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コクハク

 芸人の結婚ラッシュがやってきている。メイプル超合金・カズレーザーと二階堂ふみの結婚をはじめ、令和ロマン・松井ケムリやはんにゃ・金田哲、コットン・きょんなど、特に女性人気が高い芸人が軒並み結婚を発表した。

 そこで今回は、かつて年間100本以上のライブに出演し、自身もライブ主催者の経験もあるという現役の芸人・帽子田が、「芸人の結婚事情とガチ恋勢」について解説する。

【関連記事】カズレーザー、山里亮太…芸人はなぜモテる? 業界人が分析する「メロい」現象が起こりやすい納得の理由

芸人ファンの「ガチ恋疲れ」

 最近、芸人ファンの中で「ガチ恋疲れ」が進んでいるという。「ガチ恋」とは、ファンが芸能人やアニメキャラクターなどに本気で恋愛感情を抱くことだ。ファンとして好意的だというよりは、一人の人間として本気で恋愛対象に見ている強い感情を表している。

 お笑いファンのほとんどは女性である。劇場に足しげく通うファンの9割が女性であり、女性がメインとなって支えているジャンルだ。それは芸人のほとんどが男性だからで、体感として「ガチ恋」のファンもかなり多い。

 そんなお笑い界を支えるガチ恋勢たちが、最近芸人を推し疲れしてきているらしい。というのも近年、芸人も彼女や結婚を隠すようになっているからだ。

「彼女はいない」はずの芸人が結婚

 令和ロマンの松井ケムリは結婚を隠しており、子供が生まれたタイミングで公表。M-1で一躍人気になったバッテリィズのエースも結婚を隠していた。

 最近で言うとバイを公言していたカズレーザーも女優の二階堂ふみと結婚し、ガチ恋人気No.1とも言われる見取り図のリリーもフリーアナウンサーの今川菜緒との熱愛がスクープされていた。

 令和ロマンのケムリに関しては「彼女はいない」と公言していたにも関わらず、結婚までしていたことでガチ恋ファン層に衝撃が走り、SNSが大荒れしていた。アイドルよろしく「彼女はいない」と公言していた芸人が裏で結婚しているような事態が頻発しており、ガチ恋たちは疲れてしまったのだという。

SNSでより身近になった時代

 芸人のガチ恋離れにはもう一つ別の理由がある。「ガチ恋」がかなり叩かれる時代になったからだ。

「ガチ恋」という言葉自体は最近聞かれるようになったが、その存在は昔からある。かつてデビューしたてのダウンタウンには熱狂的な追っかけが大勢いた。雨上がり決死隊ナインティナイン、FUJIWARAらが所属していた吉本印天然素材というダンスユニットも女性に大人気だった。

 岡村さんも「その後人気になったどの芸人よりも、アイドル的人気があった」と証言している。つまり、ガチ恋ファンは昔から確実に存在していたのである。

 ただ、SNSが発展した昨今。芸人のガチ恋ファンの存在がかなり叩かれる世になってしまった。ネタの面白さを売りにする芸人を、「かっこいい」「つながりたい」などの恋愛的な方向性で消費することが問題視されるようになったのだ。

 さらにもっと厳密にいうと、「ネタの精度が人気に比例しない芸人とそのファン」も異常に叩かれるようになった。

「ガチ恋ファン」に対する警鐘を鳴らす芸人もいたりして、とにかく肩身が狭くなっている。かつては芸人になる理由は「モテたい」が第1位だった。

 しかし、芸人という存在も変わってきたのか、「人気よりも面白くなりたい」という職人的なものに変化してきたこと。そんなネタ職人からしたらビジュアルを重視してネタは二の次になってしまうような、ガチ恋ファンの存在が叩かれるようになってしまったのだ。

 とにかく現在の芸人界隈では「ガチ恋」はよろしくない、という風潮が強い。風当たりの強さによって、気持ちをくじかれてしまうガチ恋ファンたちの心情が手に取るようにわかる。

ガチ恋ファンの新たな推し先

 そんなガチ恋ファンが苦境に立たされるなか、面白い現象が起きている。「マユリカ」が爆発的に人気になっているのだ。

 マユリカの現在の人気はすさまじく、M-1の決勝進出を皮切りにテレビでの露出が増加。ラジオ関西系列のPodcast「マユリカのうなげろりん」は月間220万回再生され、イベント配信チケットは約1万7,000枚の売り上げを記録。冠ラジオのイベントは全国のイオンで展開されるなど快進撃を見せている。

 マユリカは「キモダチ」というキャッチコピー通り、ビジュアルが良いわけでもないし、カリスマ性もない。芸風はどちらかというと汚い下ネタが多く、二人とも「キモさ」を売りにしている。しかしながら現在、劇場を中心にアイドル的人気を誇ってしまっているのだ。

マユリカ・中谷の「彼女はいない」安心感

 もちろんネタやラジオの面白さが人気の理由なのは間違いないが、マユリカ人気が急上昇したのには別の理由もある。芸人のガチ恋層がマユリカ・中谷に流れるという奇妙な現象が起きているのだ。

 これはかつてキモさを売りにしてきたアンガールズやナダル、クロちゃんなどの「キモ芸人」と一線を画している。

 マユリカ中谷はラジオ内で「キモいせいで彼女がいない」と明言。マッチングアプリに登録してみたり、キャバクラに足を運んでキャバ嬢に告白して玉砕したりしている。その証拠の写真も公表しており、「彼女がいない」裏付けを見せている。

 その姿をみて、「彼女はいない」と言いつつちゃっかり幸せになっている芸人を推し疲れたファンたちが、中谷に安心を求めて流れ着いているのだ。

 また、ビジュアルが良すぎないのもガチ恋のしやすさの一因にもなっている。イケメンではないからこそ、「顔だけ見てネタを見ていない」という批判も避けることができる。

 SNSの「ガチ恋」を迫害する風潮と、芸人のパートナー隠しに疲れたファンの需要が一致した結果、マユリカは「安心して推せるコンビ」として爆発的に人気となったのだ。

売れるほどモテるというジレンマ

 このまま人気が加速していけば、マユリカは「千鳥」「かまいたち」「ダイアン」などのスターポジションにゆくゆく収まる可能性を秘めている。

 しかし、売れれば売れるほど中谷が結婚してしまう可能性は上がる。つまりガチ恋勢が応援すればするほど、彼女たちが悲しむ結果になってしまうかもしれない。

 マユリカをスターにしたい人は今のうちに推しておいた方がいいと思うが、中谷さんが結婚した時の気持ちの整理の仕方も考えていた方がいいだろう。

(帽子田/芸人、ライター)

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