(2)回復まで4~5年…将来、子どもが欲しいと思っても不妊になる可能性
摂食障害は体のさまざまな部分に悪影響を与えますが、特に妊娠・出産を担う女性への影響は深刻です。
前回、生まれてくる子どもが低体重になる確率が高まるなどのリスクを紹介しましたが、不妊治療の専門医である大石元・国立国際医療研究センター産婦人科診療科長は、摂食障害と不妊との関係をこう説明します。
「女性ホルモンのエストロゲンは、栄養状態と密接に関係しており、栄養不足で低体重というエネルギー枯渇状態になると、人は自分の生命維持のために生殖機能を一時的に停止させることがあります。そのため、女性ホルモンの分泌が低下し、月経が止まってしまいます。つまり、体が妊娠に耐えられないと判断している状態になるのです」
この状態が長く続くと性成熟期(18歳ごろ~40代半ばごろ)になっても無排卵状態になる可能性が高いそうです。
将来、子どもが欲しいと思っても不妊になる可能性が高いということになるわけです。
大石診療科長の臨床経験でも、思春期に摂食障害を経験した人は、不妊治療が難しくなるといいます。