著者のコラム一覧
永尾光一一般社団法人日本精索静脈瘤協会代表理事、医療法人社団マイクロ会理事長、 銀座リプロ外科院長、東邦大学名誉教授

1960年生まれ。埼玉県出身。昭和大学で形成外科学を8年間専攻後、東邦大学で泌尿器科学を専攻。東邦大医学部泌尿器科学講座教授、医学博士・泌尿器科専門医、男性不妊治療・精索静脈瘤手術の第一人者。 一般社団法人日本精索静脈瘤協会医療法人社団マイクロ会理事長。

男性不妊の背景には、実は“がん”や糖尿病、甲状腺疾患、遺伝性疾患が隠れていることも

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 男性不妊と診断されるケースの背景には、単なる生殖機能の問題だけでなく、精巣腫瘍(精巣がん)など命に関わる重大な疾患が潜んでいることがある。実際に、不妊をきっかけに泌尿器科を受診し、思いがけずがんが発見されるケースは珍しくない。精巣腫瘍は20〜40代の若い世代に多いが、初期には痛みなどの自覚症状が乏しい。そのため「妊活で子どもができない」と思って受診した際の検査で見つかることがある。今回は隠れた病気が発覚した事例を取り上げる。

  ◇ ◇  ◇

 ある30代男性は、2年間の妊活を経て病院を訪れ、男性不妊の状態を調べるために精巣エコーを受けたところ、腫瘍が発見された。幸いにも早期発見だったため手術で完治し、抗がん剤や放射線治療は不要。命を救われただけでなく、その後は安心して不妊治療に臨み、念願の子どもを授かった。

 精子は単なる生殖細胞ではなく、全身の健康を映すバロメーターである。精子の数や運動率が低下しているとき、その背景にはホルモン異常、糖尿病、甲状腺疾患、さらには遺伝性疾患などが隠れている可能性がある。代表的なのがクラインフェルター症候群だ。これは生まれつき余分なX染色体を持つ遺伝性疾患で、無精子症を引き起こすことが多い。加えて男性ホルモンが不足しやすく、疲労感、骨粗鬆症、体毛の減少など全身にさまざまな症状をもたらす。さらに、糖尿病による血管障害やホルモン異常、甲状腺機能の低下や亢進なども精子形成に影響することが知られている。

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