ドジャース大谷翔平でも到底及ばない「MLBホームラン記録」がある
メジャー通算1000安打を本塁打で達成した大谷翔平。メモリアルの活躍は長嶋茂雄をほうふつさせる。大谷の魅力は大きなホームランで、今季の最長は137メートル。昨年は140メートル級が数本、6月のロッキーズ戦では145メートルだった。日本のメディアはそのたびに大騒ぎしている。
けれども、大リーグのオールドファンはこう言うだろう。「おい、おい、ミッキー・マントルを忘れちゃ困るぜ」と。
1950~60年代のヤンキース黄金時代のスラッガーのことである。デトロイトに遠征した60年9月、タイガース相手にタイガースタジアムで放った右越えの一打は飛距離195メートルという一撃だった。これはベーブ・ルースの175メートルを20メートルも超えるもので、ギネスブックに「史上最長本塁打」として載った。
ホームランといえば、ルースやハンク・アーロン、バリー・ボンズらが取りざたされるのだが、飛距離の伝説となるとマントルの独壇場である。 伝説の始まりはメジャー3年目の53年4月だった。ホワイトハウスのあるワシントンでのセネタース戦の五回表。左中間に放った一打は球場を飛び出し、はるかかなたまで飛んだ。駆け付けたヤンキースの広報担当者が、ボールを拾った少年から落下地点を聞き、巻き尺で測った結果、172メートルと判定された。この巻き尺計測から、場外大ホームランを「テープメジャーショット」と呼ぶようになった。