(40)退院の手配、契約手続き、ケアプラン作成…やるべきことは無数にあった
実家近くの高齢者施設に申し込み、施設長が入院先に出向いてくれての母との面談も無事済んでいた。空きが出るまでしばらくかかるとのことだったけれど、ひと月ほど経った5月の連休前に「入居可能になった」との連絡が入った。母の認知症専門医院の退院と同時に施設に入所する日が、5月下旬に決まった。
正式な入所には連帯保証人が2人必要だった。支払いの一切に責任を持つという重いもので、私以外にもう1人必要だ。思い切って話すと、母と仲のよい叔母が署名を引き受けてくれた。
元気だった頃の母のきょうだいとの良好な関係に感謝するしかなかった。同時に、きょうだいもなく、家族もいなくなる将来、もし私が今の母の立場になったならどうすればいいのだろうと考え、今はそれを考えている場合ではないと頭から無理に振り払った。
施設には家具や日用品の備えが一切ないという。カーテン、照明、布団、クローゼット用の引き出し、衣類や下着まで、必要なものはすべてそろえて持ち込む必要があった。東京にいる私は、室内の様子を一度も見たことがないまま、提示されたサイズや条件だけをもとにネットで必要なものを選び、すべて実家宛てに配送手配した。