不動産業界で女性進出が「進む米国」と「進まない日本」の皮肉な現実
「アメリカでは不動産エージェントの過半数が女性なんですよ」
東京で不動産業界で働く女性人材の集まりに出席したとき、ある参加者がそう口にした。
「不動産業は女性に向いている職業です。みなさんでもっと業界を盛り上げましょう」と続いた。
調べてみると実際に全米不動産業協会(NAR)の統計では、会員の6割以上が女性であり、住宅売買仲介に限れば約7割を女性が占めるという。日本の宅地建物取引士に占める女性比率が26.2%にとどまることを思えば、確かに大きな差があるといえそうだ。
■女性のコミュニケーション力と好相性
アメリカで女性の不動産業への進出が広がったのは1970年代。家庭と両立しやすい職業として始まったが、やがてネットワーク形成力や共感力を強みにシェアを拡大してきた。成果主義の世界は学歴や昇進競争に縛られにくく、顧客対応に必要なコミュニケーション力が女性の強みと相性がよかったことも背景にある。
だが先日、ニューヨークで働く女性エージェントに話を聞いたとき、こんな答えが返ってきた。