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沢野ひとしイラストレーター・エッセイスト・絵本作家

イラストレーター、エッセイスト、絵本作家。1944年、愛知県生まれ。児童書出版社勤務を経て、書評誌「本の雑誌」創刊時の76年から表紙と本文イラストを担当。第22回講談社出版文化賞さしえ賞受賞。著書に「ジジイの片づけ」「人生のことはすべて山に学んだ」ほか多数。

(85)渡哲也が切ないムードを醸し出す「くちなしの花」

公開日: 更新日:

いざ相手が別れていくといじましく

イラスト・沢野ひとし

 1973(昭和48)年、渡哲也が「くちなしの花」(作詞・水木かおる/作曲・遠藤実)を発売、ケレン味のない歌い方で大ヒットを飛ばした。当時オイルショックでトイレットペーパーの買いだめ騒動が起き、さらに幻の生物ツチノコがブームを起こし、過熱気味にテレビで連日報道していた。

 そんなときに「♪い~までは指輪も~ まわるほど~」と渡哲也の渋い声が、世間を落ち着かせるように諭す。さらにサビの「♪くちなしの花の~ 花のかおりが~」「旅路のはてまで ついてくる」そしてリフレインをして聴く人のハートに染み渡る「くちなしの~白い花~」「おまえのような~ 花だった~」。

 作詞家の水木かおる(本名・奥村聖二)は「アカシアの雨がやむとき」でビッグヒットを飛ばし「エリカの花散るとき」「花燃え」と花に沿った歌詞を作り続けてきた。

「くちなしの花」の詞を見たとき、作曲家の遠藤実は男の優しさ、やるせなさに気持ちが大きく動いた。流しのギター歌手をしながら作曲を続けていた遠藤実は「ピアノに指一本でメロディーを奏でる」を信念にしていた。

「くちなしの花」はその通りの曲作りである。コードはAm/Dm/E7と何とも単純な流れだ。だが何回聴いても歌っても、飽きがこない。 

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【連載】沢野ひとし「ラ・ラ・ラプソディー in 昭和」

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