どこも悪くないのに調子が悪い…不安と孤独で認知症が進行
「体の調子がおかしい」と訴えて病院で精密検査を受けても、「どこも悪くない」と診断される高齢の患者さんがいます。にもかかわらず不調を訴え続けるうちに、不安と孤独感を抱き、うつ傾向になり、認知症が進行するケースが見られます。
この「どこも悪くないのに調子が悪い」という漠然とした不安は、認知症の進行とともに深まります。周囲にその不調を伝えることが難しくなり、それまでできていた動作も困難になることでADL(日常生活動作)のレベルが低下し、さらに不安を募らせてしまいます。
このような、自分の症状を自覚しながらも言葉にして周囲に伝えることが難しい認知症の症状は、老人性うつと極めて似ています。しかし、このような一定の症状があまり知られていないため、多くの場合「老人性うつ」として対処され、認知症への対応が遅れることが少なくありません。
認知症を発症すると、記憶障害だけでなく、実行機能や言葉の認識力の低下に加えて、幻覚、妄想、うつ症状、興奮、暴言・暴力、徘徊などの症状が現れます。特に、物事を順序だてて考えることが苦手になるとされています。


















