(3)適量のお酒は体に良い…40年以上の診療経験からの結論
忘年会シーズンが目の前です。何かとお酒(アルコール)を飲む機会が増えるもの。肝臓の調子を気にしながらアルコールを口にする人もいらっしゃるかもしれません。
肝臓の健康というと、連鎖反応的に「じゃ、アルコールを控えなきゃ」と考える人が多かったのですが、アルコールは必ずしも肝臓に悪いばかりとは限りません。
私は40年以上、肝臓疾患を専門としてきました。その経験から導き出した結論は、「適量のお酒は健康によい」ということ。実際、1日あたり純アルコール量40グラム以下であれば、お酒を飲む人の死亡率は飲まない人より低くなる傾向が見られることは、数々の権威ある研究が証明しています。適度な飲酒が血行を促して、動脈硬化予防につながるためと考えられています。適量の飲酒によって心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳梗塞などの脳血管疾患が抑制されることが示唆されています。そればかりか、脂肪肝や糖尿病にもいいといううれしいニュースもあります。
わが国でも、2024年に厚生労働省の見解として「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を1日男性40グラム以上、女性20グラム以上としています。これ以下の飲酒であれば、まあ、いいだろうということでしょう。


















