著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(6)深夜のホットドッグ

公開日: 更新日:

 旅仕事に出ると、必ずといっていいほど寄る店がある。常宿ならぬ常酒場である。仕事柄、出張中の仕事終わりは、夜もそろそろ更けかかる頃になる。疲れをとるには宿へ帰ってシャワーを浴びて、ベッドに横になるのがいちばんだが、そうはいかないのが、厄介なところである。

 先日は、大阪の中心部、淀屋橋で仕事を終えると、10時半になっていた。タクシーを拾えばホテルまで10分程度だが、気が付けば歩きだしていた。土佐堀川を渡り、堂島川を渡って堂島浜通りを左へ入る。目指すは「堂島サンボア」。昭和9年創業の老舗バーだ。サンボアの神戸での発祥は1918(大正7)年で、現在までにのれん分けを通じて、大阪、京都、神戸、東京に計15店が開かれ、どの店も、多くの客に愛されている。

「堂島サンボア」は中核的な存在で、現在の店主は三代目。私と年回りが近いこともあって、話しやすく、大阪での酒の仕上げに必ずといっていいほど立ち寄る。

 頼むのはハイボールと決めている。角ハイが大ブームになるかなり前から、私はサンボアでは角ハイボールと決めていた。

「もっとええ酒も置いてるのに、ハイボールのことばかり書くから、お客さんも角ばかりですよ」

 たまには少し奮発してもっと高級なウイスキーはどうですか、という意味なのだが、私はそれには乗らない。ここでは、いつもの、ダブルの、氷なしの、濃くて真っ当な、ハイボールがいい。

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