【サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行】泥棒親子が障害者のキャンプに逃げ込んで良心に目覚める
鑑賞後、資料を読んでびっくりさせられた。役者たちはいずれも芸達者。そのため容姿が障害者に似た役者を選んだのだろうと思ったら、実は本当に障害を抱えた人たちを出演させたという。彼らの演技力に舌を巻き、自分の浅はかな思い込みに苦笑してしまった。
宝石店を襲った2人組が親子というのがこの脚本のミソだ。通常の泥棒は悪党の友人同士がつるんで行うものだが、本作は親子がグルになって犯行に及ぶ設定。考えてみると、我々の社会には「親がワルなら、子もワルだ」という悪行の遺伝的連鎖が存在する。筆者も昔の村社会でそうした悲劇的現実を目撃したことがある。
DNAによる犯罪の継承はどこか暗いイメージがあるものだ。本作はその血縁的なタブーにスポットを当て、親子2代の悪党がピュアな心の障害者たちとの交流で変化して行くさまを描いている。救いようのない悪徳DNAコンビの良心の覚醒がテーマだ。
彼らはパウロが障害者でないことを見抜くが、仲間として受け入れ、そのことを口外しない。つまり障害者が健常者を快く受け入れるわけだ。そうしたこともあってパウロは心に刺激を受ける。彼がこのグループで暮らす日々に楽しみを見出すようになる過程が見どころだ。


















