日本中の不幸を集めに集めた長嶋茂雄自身は幸福だったのか。ジョン・レノンのように歌えたのか

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“燃える男”、“ミスター”の愛称で国民的人気を誇ったプロ野球巨人監督の長嶋茂雄さんが6月3日、都内の病院で肺炎のために亡くなった。享年89。選手、監督として数々の伝説、逸話を残した「ミスタープロ野球」は、身近に接した者だけでなく、ファンにまでそれぞれの「長嶋茂雄像」を強く印象づけている。

 今回は日刊ゲンダイ特別号「追悼 長嶋茂雄 50人の証言」に収録された、音楽評論家のスージー鈴木氏による回顧録を特別公開する。 

  ◇  ◇  ◇

「スーパースターとは不幸の総和である」

 ジョン・レノンが殺されたとき、音楽評論家の渋谷陽一はこう書いた。長嶋茂雄の訃報を聞いて、まず思い出したのは、この言葉だった。

 私がプロ野球を見始めたのは1975(昭和50)年。長嶋現役引退の翌年。つまり私は「長嶋を知らない子供たち」の1期生だった。関西人ということもあり、長嶋ファン、巨人ファンだったことなど一日たりともなかった。

 それでも昭和時代、敗戦の傷痕や貧困も生々しく、日本がまだまだシンプルに不幸だった時代に、日本中の不幸を集めに集めて、スーパースターとして輝いたのが長嶋茂雄だったーーそう捉え直すと、訃報を前に、背筋がすっと伸びる感じがしたのだった。

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