昭和の映画女優には「怖い」というイメージがあった…亡き小川真由美さんのエピソード
昭和の名女優・小川真由美さん(享年86)に続き岸恵子さん(享年93)もこの世を去った(以後敬称略)。
岸はテレビ局のロビーで見かけたことしかない。
数人に囲まれさっそうと歩いてくるところだったが、映画のワンシーンのように、岸だけが輝きを放っているようだった。圧倒的な存在感に集まった局員らも声を出すことなく見とれていた。「女優オーラ」を身近に感じた。
同じことを岩下志麻でも感じた。平日の銀座の古い映画館。上映が終わり、出口に向かう人の列の中に岩下はいた。まさに全身をオーラが包んでいた。背筋を伸ばした姿勢の良さはまさに「極道の妻」の姐さん。岸も岩下も周囲を寄せ付けないオーラを放っていた。
小川との遭遇はないが、取材を通して苦い思い出がある。映画、ドラマと主役を張っていた時代だった。
俳優との熱愛を直撃すべく東京の東映撮影所の楽屋を訪ねた。映画の話の後、単刀直入に「俳優の〇〇さんとお付き合いしていますよね」と聞いた。「どうせそんな話だと思っていたわよ」とドラマで見せるような睨みで、交際を否定した。予想通りの返答にそれ以上、迫ることもできず退散。
帰り際、小川は「そんな取材ばかりしていると、バチが当たるわよ」とひと言。気にすることもなく車で都心に向かっていた時、車の衝突に巻き込まれた。頭をぶつけて病院でむち打ち症と診断された。小川の言葉通りバチが当たった!?
その後、今で言うところの小川のパワハラ問題の取材をする機会があった。
主演のドラマで着る着物を揃え、チェックしてもらったスタイリストからの泣き言がきっかけだった。
「帯紐などこまごましたものまでチェックするんだけど、“扇子はダメ。私は京都の○○屋の扇子しか使わない”」と突き返されたという。監督は「仕方ない。京都まで行って買ってきて」と撮影は延期になった。“たかが扇子、されど扇子”なのが俳優のこだわりか。
「自分の主演作の小道具まで目を配るのは自然。ヒットするもしないも責任を負うのが主役。その覚悟があるから女優は細部にもこだわるし、時には怒鳴るほどの怖さも併せ持つ」(映画関係者)


















