(32)老健の母親から電話…また、「家に帰る」の振り出しに
有料老人ホームの見学翌日、おかんから電話がかかってきた。今度は何を言われるのだろう。波立った気持ちのまま出ると第一声は「わかる?」だった。そりゃ番号登録しているんだからわかるさ。すると、少し間をあけてからこう切り出された。
「昨日はひどいこと言ってごめんよ。気になって夜も眠れなかった」
口撃したかと思えばすぐに謝ってくる二面性は、やはり認知症から来るものなのだろう。そう理解しようとしても、自分の母親のことなので気持ちの整理はなかなかつかない。それでも、これをキッカケに新たな提案ができるかもと淡い期待を持ち、再度施設見学の必要性をじっくり話し、後日再び外に連れ出した。
目的はあるサ高住の見学。兄の自宅にほど近い、約20室の地元密着型施設が気になっていたからだ。幸いなことにおかんは強い拒絶をすることなく施設に足を踏み入れてくれた。案内してくれた施設長が地元の人だとわかると、露骨に嫌な顔をすることもなく、それまで見ることさえ拒否していたパンフレットを受け取った。少し期待してもいいのかな?


















