著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

熱中症のリスクをアップさせる薬を飲んでいる人はご用心

公開日: 更新日:

 暑さのピークは越えたというものの、厳しい残暑が続いています。まだまだ熱中症への警戒は欠かせません。

 そんな中、熱中症で入院するほど重症化した人たちの背景を分析すると、ある「共通点」が見えてきました。今回は、国内最大規模、約6317万人分の診療データベース(MDV)を用いた最新の調査結果を紹介します。

 2022年から2025年にかけて熱中症で入院した約1万1000人を対象に、入院前にどんな薬を飲んでいたかを調べたランキングです。驚くことに、処方割合の第1位は精神安定剤(7.6%)でした。次いで高血圧の薬であるARB(7.4%)、心臓や血圧のβ遮断薬(6.2%)、そして尿を出すループ利尿薬(5.4%)と続きます。

 では、なぜこれらの薬が熱中症リスクに関係するのでしょうか? 理由は「薬の作用機序」にあります。たとえば精神安定剤や抗精神病薬の一部には、脳の体温調節機能や発汗機能を鈍らせるものがあります。また、利尿薬は体内の水分や塩分を強制的に排出し、脱水を進めやすくします。血圧の薬も、血管の収縮・拡張を抑えるため、本来備わっている熱を逃がす仕組みを邪魔してしまうケースがあるのです。

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