無謀な戦争の末路(3)日本海軍はなぜ「無敵意識」に陥ったのか
「日本海軍 失敗の本質」戸髙一成著
アジア・太平洋戦争が無謀な戦争だったことは今日では明らか。しかしどう無謀だったのか、なぜ無謀だったのかは認識不足のままだ。
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「日本海軍 失敗の本質」戸髙一成著
日米戦争に臨んだ際の日本海軍。そこに欠けていたのはなにか。著者によれば「実戦体験」だ。明治の海軍は小さく、制度も陸軍の下にあった。それが日露海戦に勝利し、報奨金と叙勲がばらまかれた。つまり名誉心の大量発行だが、組織がこれに染まる中、世代交代は進み、昭和の時代には既に実戦経験のある世代がいなくなっていたのである。連合艦隊の将兵で日露戦争を経験したのは山本五十六のみ。それも最年少の少尉だったのだ。こうして生まれた無敵意識に加えて93式魚雷という最新鋭兵器が完成する。ところが艦船の方は大和と武蔵を除くと老朽化が目立ち、空母のみが新鋭艦。それゆえ真珠湾攻撃も空母機動隊のみで決行する無謀な一面があったのだ。
戦後は陸軍悪者論が大勢を占めたが、実は海軍も長期戦を戦う発想に欠け、人事制度は硬直化し、予算不足が災いしたため士官の教育にまで精神主義が広まっていた。戦争が始まるまで日本海軍には艦隊に随伴する高速給油艦(タンカー)がなかったというから、長期で長距離を戦う発想がなかったというほかないだろう。著者は広島の呉にある大和ミュージアム(「呉市海事歴史科学館」)の館長。
(PHP研究所 1100円)


















