(4)夜、脳はなぜ眠くなるのか…「眠気の正体」という最後の謎
人は夜になると自然に眠くなり、朝になると目覚める。毎日繰り返されるこの現象は、生命が持つ最も基本的なリズムのひとつである。しかし、科学が大きく進歩した現在でも、「ヒトはなぜ眠るのか」「眠気とは何なのか」という根本的な問いには、まだ完全な答えが出ていない。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が説明する。
「長年、眠りは大きく2つの仕組みによって調節されると考えられてきました。ひとつは『体内時計』、もうひとつは『睡眠圧』です」
体内時計とは、脳が刻む約24時間周期のリズムである。脳の視床下部にある視交叉上核には約1万5000個の神経細胞(時計細胞)が集まり、睡眠・覚醒を含む全身の概日リズムを調整している。朝、太陽光が目に入ると、その情報が視交叉上核に伝わり、体は活動しやすい状態へ切り替わる。
一方、夜になると松果体からメラトニンが分泌され、深部体温低下など眠りに適した変化が始まる。
もうひとつの重要な仕組みが睡眠圧だ。


















