「誰何」伏尾美紀著│ふたりの<松川美和>とは誰なのか
「誰何」伏尾美紀著
ある日、札幌市内に住む園田咲江の次男隆一の元に警視庁から一本の電話が入る。都内で発見された遺体が、母親の姉<松川美和>ではないか、というのだ。しかし伯母・美和は2年前に亡くなっている。
同じころ、石狩市の石狩放水路近くで男性の変死体が見つかった。ひき逃げによる死亡で、被害者は札幌市在住の工藤健斗29歳。捜査をしていた道警1課の砂本修二は、被害者宅でかつての先輩刑事・新内の名刺を見つける。そして、加害車両の所有者・今永陽介が札幌市内の大型ショッピングモールの駐車場で自身の車の中から腐乱死体となって発見された--。
ある事情から道警をやめ、児童相談所の虐待対応支援員として働く新内由紀45歳、新内の刑事課時代の後輩・砂本、元公安の宝生らを軸に、ふたりの<松川美和>をめぐる謎、被害者・加害者死亡の不可解なひき逃げ事件、3年前の未解決事件など複雑に絡み合う事件を追う警察ミステリー。捜査を描く一方で、児相の現実や特別養子縁組制度の理不尽さに傷つきながらも生きていく登場人物たちの、生活者としての姿も浮かび上がらせる。
新内の道警時代の名刺がフックとなり、次々と起こる謎に引き込まれること間違いなしだ。
(光文社 2090円)



















