(1)「公平な選び方」を模索して誕生した「総選挙」は“一大ビジネス”へと変貌した
「しょせんは競争社会。キレイごとをいっても始まらない」
自嘲するように話すのはAKB48が上りつめていく様子を間近で見てきたテレビ局の元ディレクター。
2009年──。国を揺るがす2つの大きな選挙が行われた。ひとつは自民党を政権から引きずり降ろした第45回衆院選。そして、女性アイドルグループ時代の絶頂をつくり出すことになる第1回「AKB48選抜総選挙」である。まるで当時の「ゆとり教育」にアンチテーゼを突きつけるかのような衝撃だった。
同年4月26日、AKB48はNHKホール(東京・渋谷区)でコンサートを行っていた。最後に大島麻衣、川崎希、早野薫の3人が卒業のあいさつをして、メンバー全員が引き揚げたあとだった。ステージ上のスクリーンに突然、AKB48劇場支配人の戸賀崎智信の顔が映し出された。戸賀崎は総選挙開催を宣言し、「ガチです」と付け加えた。どよめいたのは観客だけではなかった。舞台袖にいたメンバーたちからも悲鳴ともつかない驚きの声が上がった。誰もそのことを聞かされていなかったのだ。


















