売り飛ばされた姉と姉を慕う弟…「娼生」は1970年代台湾の娼婦残酷物語だ

公開日: 更新日:

姉と弟の再会で、止まった時が再び動き出す…

 一方、フォンの弟ユーミン(ホアン・グァンジー)は成長し、警察官となって台北で姉を探していた。売れっ子歌手の姉と会えると期待していたユーミンは娼婦になった姉と再会。止まった姉と弟の時が再び動き出すのだった……。

 子供のころから美声をほめられ、都会でスター歌手になるのを夢見たフォンが騙されてたどり着いたのはなんと日本。スケベな日本人が力ずくで彼女の肉体を奪う。

 この場面で思い出したのが「セックスアニマル」という言葉だ。1970年代、日本の男たち(主に中年男)は札束を腹巻に突っ込んで韓国や台湾、東南アジアに旅行し、現地の売春婦を買った。日本人は札束で女の頬を引っぱたいて快楽を貪るセックスアニマルだと、国内外のメディアで批判的に報じられたものだ。

 奇しくも本作ではフォンが日本で娼婦に転落。台湾に戻ってきたが、売春地獄に落ちた彼女は再生できず、娼館で働くことに。そんな泥沼人生の中で彼女に手を差し伸べるのが現役の警察官だ。この警察官はフォンを身受けしたいと考えるが、自分自身を嫌悪するフォンは素直になれない。

 こうして時間が経過し、フォンの弟ユーミンが成長して台北で働き始める。皮肉なことに彼の仕事は警察官だ。市長が娼館街の浄化を図り、締め付けを開始。ユーミンは変わり果てた姉を発見して愕然とし、苦しむことになる。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  2. 2

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  3. 3

    山崎まさよし公演ドタキャンで猛批判 それでもまだ“沢田研二の域”には達していない

  4. 4

    ポンコツ自民のシンボル! お騒がせ女性議員3人衆が“炎上爆弾”連発…「貧すれば鈍す」の末期ぶりが露呈

  5. 5

    創価学会OB長井秀和氏が語る公明党 「政権離脱」のウラと学会芸能人チーム「芸術部」の今後

  1. 6

    小嶋陽菜はブランド17億円売却後に“暴漢トラブル”も…アパレル売れまくりの経営手腕と気になる結婚観

  2. 7

    草間リチャード敬太“全裸騒動”にくすぶる「ハメられた」説…「狙った位置から撮影」「通報が早い」と疑問視する意見広がる

  3. 8

    森下千里氏が「環境大臣政務官」に“スピード出世”! 今井絵理子氏、生稲晃子氏ら先輩タレント議員を脅かす議員内序列と評判

  4. 9

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  5. 10

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木麟太郎をドラフト指名する日本プロ球団の勝算…メジャーの評価は“激辛”、セDH制採用も後押し

  2. 2

    日本ハム新庄監督がドラフト会議出席に気乗りしないワケ…ソフトB小久保監督は欠席表明

  3. 3

    ヤクルト青木“GM”が主導したバランスドラフトの成否…今後はチーム編成を完全掌握へ

  4. 4

    吉村代表こそ「ホント適当なんだな」…衆院議席3分の1が比例復活の維新がゾンビ議員削減と訴える大ボケ

  5. 5

    吉村代表は連日“ドヤ顔”、党内にも高揚感漂うが…維新幹部から早くも「連立離脱論」噴出のワケ

  1. 6

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  2. 7

    ブルージェイズ知将が温めるワールドシリーズ「大谷封じ」の秘策…ドジャース連覇は一筋縄ではいかず

  3. 8

    高市政権は「安倍イタコ政権」か? 防衛費増額、武器輸出三原則無視、社会保障改悪…アベ政治の悪夢復活

  4. 9

    今秋ドラフトは不作!1位指名の事前公表がわずか3球団どまりのウラ側

  5. 10

    亀梨和也気になる体調不良と酒グセ、田中みな実との結婚…旧ジャニーズ退所後の順風満帆に落とし穴