「僕の悲しみで 君は跳んでくれ」岡本雄矢著
「僕の悲しみで 君は跳んでくれ」岡本雄矢著
学校の中庭に作られたステージで、瀬川壮平はベースとドラムに合わせてギターを弾いていた。ステージの真ん中で跳び上がって歌った。「君の未来が美しくあるように」
編集者のかおりは、高校3年の夏、中庭で壮平が跳ぶのを見たとき、モヤモヤしていた心が一瞬で軽くなったのを覚えている。「かおりは壮平のことが好きなんだ?」と言われていたが、それが恋愛感情かどうかはわからない。あの曲を弾いてみたくてかおりはギターを買ったのだ。
その中庭が、学校の改修工事でなくなることを聞いた。
「私、壮平君たちのライブをもう一回見たい」
18歳のときに見た「光」を追い求める女性を描く青春小説。 (幻冬舎 1650円)