売り飛ばされた姉と姉を慕う弟…「娼生」は1970年代台湾の娼婦残酷物語だ
「娼生」5月23日(金)よりシネマート新宿ほか、全国順次公開
最近「セックスワーカー」という言葉をよく耳にする。性風俗の仕事をしている人々のことで、放送中のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は吉原の遊女が重要な役割を果たしている。
映画の世界でもセックスワーカーは注目だ。昨年の第77回カンヌ国際映画祭でパルムドールを取った米国映画「ANORA アノーラ」は、ストリッパーがロシアのオリガルヒのバカ息子と結婚し、玉の輿に乗ろうとする物語。今年の第97回アカデミー賞では作品賞など5部門に輝いた。映画界ではセックスワーカーがホットな題材となりつつある。
そんな折に登場したのが台湾映画「娼生」だ。「娼生」と「しょうふ」と読む。
ときは1970年代。台湾の山奥で育ったフォン(ジーン・カオ)は歌手になる夢を叶えるため、祖母の反対を押し切って台北へと向かうが、途中で騙され、娼婦として日本に売り飛ばされてしまう。
数年後、台湾に戻った彼女は故郷の実家をこっそり覗き、老いた祖母が認知症を患っていることを知る。罪悪感に苛まれたフォンは家に戻らず台北に向かい、娼婦の仕事を再開。密かに実家に仕送りをして贖罪に励む。