軽症ならほぼ完治なのに 「ケロイド治療」意外な落とし穴
傷痕などが赤く盛り上がる肥厚性瘢痕やケロイドはだれにでも発症・悪化のリスクがある。どういう治療法があるのか?
「適切な治療によって、肥厚性瘢痕やケロイドは見た目がほとんど分からない程度にまで『治る』。ところが、それを分かっていない医師も多い」
こう話すのは肥厚性瘢痕・ケロイド治療の第一人者、日本医科大学形成外科学教室・小川令主任教授。小川教授の外来には「別の医療機関で治療を受けたが、よくならなかった」という患者が全国からやって来る。
外傷や手術などで傷ついた箇所は、回復する過程で盛り上がるケースがある。また、ピアスやニキビの痕、引っかき傷などが、同様の状態になることもある。
一般的に、赤い盛り上がりが残っていれば肥厚性瘢痕、赤い盛り上がりが傷痕周辺の正常組織にまで広がり続けるのがケロイドだ。治療は飲み薬、塗り薬、貼り薬、注射などの保存療法と、手術または放射線治療がある。
「当院では、肥厚性瘢痕とケロイドの患者だけで年間2000人ほどが来院します。重症例も多数ありますが、手術が必要なのは1割程度です」