(24)言い合いになるのが嫌で父への連絡は必要最小限となっていた

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 いずれ訪れる母の退院に備えて、地域包括支援センターとのやりとりが続いていた。最良の選択肢として看護小規模多機能型居宅介護(看多機)という制度を教えてもらい、実家の近くにその施設があることも知った。

 介護度によって利用できるサービスが大きく変わるため、認定結果を待ちながら、父と母のこれからの生活をどう成り立たせるか、複数のパターンを考えていた。しかし、結果を知らせる封書が届いたという父からの連絡は一向に届かない。

 これくらいには来るだろうと予測していた日を過ぎ、年末が近づいてきた。あまりにも遅いと感じ、役所に問い合わせると、そもそも書類が届いていないという。まさか。病院に確認すると、なんと、事務局で保管したままになっていたことがわかった。ミスで、提出そのものがなされていなかったのだ。あまりのことに言葉を失った。

 その少し前、11月の終わりに父は84歳の誕生日を迎えていた。しかし、母の件で言い合いになるのがいやで、私はお祝いのメールも送らず、電話もかけなかった。私からの連絡は、ここしばらく介護認定の確認という用件に限られていた。父はどう感じていただろうか。誰よりも家族の記念日のイベントが好きだったのに、今は母も家におらず、娘から「おめでとう」の連絡すらないとは。

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