芳根京子「波うららかに、めおと日和」手探りで妻となっていく主人公の生真面目さが芳根と重なり、応援したくなる
今期のドラマには不穏なタイトルが目立つ。「魔物」「恋は闇」「あなたを奪ったその日から」などだ。さらに「夫よ、死んでくれないか」なんてものまである。恋愛も夫婦関係も一筋縄でいかないのは確かだが、なんとも物騒だ。
そんな中、芳根京子主演「波うららかに、めおと日和」(フジテレビ系)は、肩の力を抜いて見られるのがありがたい。時代背景は昭和11年。なつ美(芳根)は会社を経営する父と母のもとで、のんびりと育った三女だ。
ところが突然、帝国海軍中尉・江端瀧昌(本田響矢)との結婚が決まってしまう。本人の意思など無関係だが、そんな時代だったのだ。
恋愛経験は皆無で、男性と話すことさえ不慣れな“お嬢さん”なつ美。艦上ではともかく、陸上では“純情青年”そのものの瀧昌。「ウブ」としか言いようのない2人の新婚生活がほほ笑ましい。結婚してから始まった恋愛模様が新鮮に映る。
とはいえ、昭和11年といえば「二・二六事件」の年だ。日本はロンドン海軍軍縮会議からも脱退している。すでに時代そのものが不穏なのだ。
今年の1月期ドラマ「まどか26歳、研修医やってます!」(TBS系)もそうだったが、徐々に成長していく役柄は芳根の最も得意とするところだ。手探りで妻となっていくなつ美の生真面目さが、芳根と重なり、つい応援したくなる。