奥さんが決断してくれた…元大関の小錦八十吉さん腎臓移植を振り返る

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小錦八十吉さん(元大関・タレント/61歳)=腎臓病

 腎臓の移植手術をしたのは2024年12月。3月初旬に抜糸が終わって、今はもう不便なことはないけれど、それまでは傷口から膿が出たりするから、ガーゼを替えるなどのケアがだいぶ必要だった。まだ手術から半年も経っていなくて、傷は細菌やウイルスに感染しやすいと言われているから、気を付けながら仕事を選んでいます。

 腎臓の機能低下は10年ぐらい前から言われていました。でも、初めはそんなに悪くなかったから普通に過ごしていて、腎臓病のよくある症状の「おしっこが出ない」なんてこともなかった。普通に出ていたから調子に乗ってたら、そのうちむくみがすごくなって「水が心臓までいってる」と言われたこともあります。それでも普通に仕事していました。

 じつを言うと、腎臓移植の話は3年ぐらい前から決めていました。シカゴで入院したときに「そろそろ東京へ帰ったら真剣に腎臓のことをやらないと、ひどくなるばかりですよ」と言われてね。でも自分は人工透析はやらないと決めていたのです。なぜなら、アメリカの家族をずっと見てきたから。みんな腎臓を悪くして透析をしていたけれど、お兄さん2人が50歳ぐらいで亡くなっているんです。アメリカ人は腎臓の悪い人が多いんですよ。でも透析では命が長持ちしません。もう1人の兄は移植を希望しているけれど、もう6~7年ドナーを探し続けています。だから今回、僕が奥さんの腎臓をもらって移植をすると話したら、家族はビックリしていました。

 アドバイスをくれたのは同じハワイ出身の元横綱武蔵丸の武蔵川親方ご夫妻。8年前に同じように夫婦間移植をしているので、たくさん相談に乗ってもらいました。うちの奥さんも「最初は不安だったけれど、お話を聞き、お元気な姿を見て、少しずつ気持ちが楽になりました」と、移植を決断してくれました。奥さんが精神的に強い人で本当に良かった。アメリカの家族はみんな腎臓が悪いから、僕に腎臓を提供できるのは奥さんしかいないでしょ。子供みたいにかわいがっているワンちゃんはいるけど、ワンちゃんからもらうわけにいかないんだから(笑)。

 移植にあたっては、たくさんの検査が必要でした。それに加えて、術後回復するまでの期間を考えると長期間仕事を休まないといけないから、なかなか手術ができなかった。こう見えていろいろな仕事をしているからね。そんなに具合が悪い状態ではなかったから、どんどん先送りにしていたところもあります。

 本当は昨年10月の予定だったけれど11月に延期になり、結局12月になったというわけ。そのときにはもう迷いなく、移植手術に前向きでした。

 移植手術は6時間ぐらいだったと聞いています。腎臓を切除して、奥さんの腎臓をつなげる。僕は麻酔で寝ているからわからないけどね。目覚めたときは痛かったよ。お腹切っているんだから当たり前でしょ? 術後10日間ぐらいは痛かったな。まぁ、痛いのは膝の手術だってなんだって同じで、長く続くか短くて済むかの違いしかないと思うけど。

 入院期間は1カ月強。2月には10日間入院して経過を調べて、今はチューブも何も入っていません。もう歩いても傷は痛くない。膝や腰の方がよっぽど痛いよ。

 改善したのはにおいと味。ずっとにおいも味もしなかったからあんまり食べなかったんだけど、食べ物がおいしくなったから食べちゃう感覚が戻ってきました(笑)。

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