「日本の国民皆保険」島崎謙治著

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「日本の国民皆保険」島崎謙治著

 日本の「国民皆保険」の始まりは、1922年に成立した健康保険法だ。同法の対象者は労働者に限られていたが、当時は世界恐慌のあおりで日本経済も疲弊、特に農村の窮乏が著しく、医療費が払えず娘を身売りするような事態も起きていた。

 そこで国は農民も社会保険を利用できる方策を思案し、職域を単位とする被用者保険と地域を単位とする国民健康保険の2本立てという日本独自の体系をつくり出し、61年に国民皆保険が実現。高度経済成長期が終わる73年まで給付の拡充が図られてきた。その後、独立型の後期高齢者医療制度も加わったが、社会・経済が右肩下がりを続ける中、国民皆保険の形骸化が懸念されている。

 本書は、この国民皆保険制度の構造や改革の歴史を詳述しながら、今後を展望したテキスト。

(筑摩書房 1210円)

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