ジーリーメディア吉田社長 欧米発信の組織論礼賛は古い
日本人には忘れ去られたような、北海道のうらぶれた漁港に、台湾から観光客が押しかける。はたまた東北のローカル線「秋田内陸縦貫鉄道」に香港人の広東語が響く。彼らが情報源にしているのが、台湾・香港人向けの日本の観光情報サイト「樂吃購(ラーチーゴー)」だ。
■ティール組織は東洋思想
ジーリーメディアグループ社長の吉田皓一さん(36)は、防衛大を中退し、慶応大学経済学部を卒業したという異色の経歴の持ち主。朝日放送のサラリーマンを経て、2013年にジーリーメディアグループを創業した。日本の観光情報発信のほか、台湾のテレビ局が日本でロケをする際も同社を頼ってくる。
そんな吉田さんが真っ先に取り出したのが、マッキンゼー出身のフレデリック・ラルーの「ティール組織」。ビジネス書として今、最も注目されている一冊だ。
「2カ月ほど前、経営者同士の勉強会で偶然、薦められたのがこの本でした。最新の経営・組織論とされる『家族経営』より、さらに先の概念を説明したものです。ただ、多くの読者が新しい理論だと称賛していましたが、決してそんなことはありません。その説明は後にさせていただきます」