都内に15店「麺屋武蔵」社長・矢都木二郎さんの巻<2>
オールドデリー芝公園店(東京・芝公園)
僕は好き嫌いがありません。気になる店があると、どこにでも出向いて行きますから、カレーはもちろん外せません。インド料理店の一番が、こちらです。
カレーはインド発祥ですが、この店に巡り合うまでインド系の店にアタリがありませんでした。日本のカレーや欧風カレー、タイカレーなどはおいしい店に出合うのに不思議でした。
もちろん、本場インドの流れをくむ店なので、どの店もスパイスは香り豊かです。そうでありながら、ウマ味が足りないというか。極端な言い方をすると、インド料理店のカレーには、多くのスパイスを水で溶いたような印象がありました。
ハーフでもかなりのボリューム
そんなイメージをあっさり覆し、足しげく通うようになったのが、こちらです。妻や子供も大好きで、何を頼んでもおいしい。一言で言うと、ウマ味が濃厚です。化学調味料や食品添加物を使わず、おいしさの奥行きを出すのはスゴイ。
北インドの定番チキンバターマサラは、トマトソースとバターの香りを残し、チキンのおいしさがたっぷり。人気のチーズナン(ガーリックなし630円)との相性抜群です。
カレーはハーフでもかなりのボリュームがあります。家族や仲間との食事なら、ハーフを複数頼み、ナンとライスでシェアするのが楽しい。ハーフは500円からで、チキンバターマサラは680円です。
前菜からあれこれ頼むのがいつものパターン
なんだこのミントの香り!と驚くほど爽やかなフレッシュミントとフレッシュラム、その名の通りココナツの風味が食欲をそそるココナツミルクとエビなどのカレーも絶品です。
ほんと、カレーがおいしいし、スパイスやウマ味とのバランスが絶妙なので、ぜひカレーの分を残しておいて、前菜からあれこれ頼むのがいつものパターン。
アンチョビキャベツ(580円)やアンチョビポテチ(500円)は居酒屋でも見かけるメニュー。それがスパイス名人の手にかかると、口が喜ぶ料理に様変わりしますし、パプリカとナスのイマーム風(300円)は、イタリアンのカポナータっぽい仕上がりでも、スパイスが生きているのです。
スパイスの複雑さがスゴイ!
マトンの激スパイス炒め(880円)は、ネーミングほど辛さはなく、スパイスの複雑さ、パンチが最高で、ビールが進みます。タンドリーチキンを略したタンチキ(1つ400円)は、ヨーグルトソースの作り方といい、火の通し方といい、勉強したくなる仕上がりです。
野菜のグリル(880円)は、カッテージチーズを野菜と挟みながらナイフに刺して窯でグリルしています。一つ一つの食材に塗られたソースがいい。チーズは、水分がほどよく抜けてガッツリといただけます。
肉好きなら、肉盛り(3600円)もいいでしょう。鶏や豚、羊などのグリルが、ドドンと盛られること総重量1キロオーバーです。
先日、お邪魔したときは、テークアウトやデリバリーの注文も続々と入っていました。スパイス好きはぜひ!
(取材協力・キイストン)
■オールドデリー芝公園店
東京都港区芝公園2―9―3 港ビル1階
℡03・3433・0541
■麺屋武蔵
1996年創業。現在は青山や新宿、池袋など都内に15店舗を展開。企業とコラボするほか、小学校へのラーメン給食の提供や調理専門学校での出前授業など、新しい試みにも積極的に取り組んでいる。
▽やとぎ・じろう 1976年、埼玉県生まれ。城西大卒業後、一般企業に就職するが、大学時代にハマったつけ麺を日本全国に広めたいとの思いから、24歳で麺屋武蔵に転職。3年後、上野店店長に。2013年、先代からバトンを継ぎ、2代目社長に就任。