都内に15店「麺屋武蔵」社長・矢都木二郎さんの巻<3>
ZeCT byLm(東京・神田)
コスパ抜群のイタリアンです。“がぶ飲みワインさん”は重宝すること間違いないでしょう。
夜の8000円と1万円のコースは、それぞれ飲み放題込み。8000円は料理4品で、1万円は料理10品で、断然1万円がオトク。
赤と白のワインはもちろん、ビールはアサヒとキリンの定番を揃えたうえ、ギネス、ドイツビールのヴェルテンブルガー、ベルギービールのレフ・ブロンド、さらにスパークリングワインのリオンドプロセッコもすべて飲み放題です。
■驚愕CPのイタリアン
飲み放題は時間制ではなく、メイン料理が出るまで。変則的でも、いろいろなお酒を楽しめるのがいい。
キリン一番搾りで乾杯すると、サラダと一緒にハムの盛り合わせが。タマネギベースのドレッシングは自家製で酸味が絶妙。続いては、何かのトマト煮込みです。
「硬くなったパンをトマトとニンニクで煮込むんです。日本のおじやのような家庭料理ですね」
トマトとニンニクが重なり合ってワインに切り替えたくなります。シェフは、伊フィレンツェで修業。現地の家庭料理を再現するのがテーマで、ワインのグラスはロックグラス。現地では、そうやって飲むそうです。ありふれたメニューより、家庭風がいいし、イタリアの雰囲気を感じられます。
アスパラと卵のポタージュは春野菜の香りがほどよく、趣きが変わったところで、カウンターの中では小麦粉をこねて生地作りが始まりました。聞くと、ミートソース用のパスタです。この流れで手打ちはスゴイ。
で、出されたのが、肉々しい一皿。ミートソースが足りなくなるのが嫌だというシェフは、牛肉を粗く切ってゴロゴロとさせます。「肉が余ったら、次のリゾットに入れてどうぞ」というのは心憎い。
カウンター7席を1人で回していますが、丁寧な仕込みと仕事の早さで皿が滞ることはありません。結局、肉は余らず、赤ワインを飲みながら待っていると、すぐにチーズリゾットです。ベーコンとチーズの塩味がちょうどいい。シンプルな皿にこそセンスのよさが感じられます。
青カビと白カビのチーズなどで口直しをすると、「次はメインのビステッカ(ステーキ)です」の合図。ここまで1時間くらいでしょうか。90分ラストオーダー、120分終了をイメージすると、早いかもしれませんが、どれもクオリティーが高く、お酒も満足です。
そうはいっても、ステーキ登場まではお酒の注文が可能。最後に2杯キープできますから不足は心配ないでしょう。
コースの締めは何とラーメン!
シングルモルトでフランベしたステーキは香ばしい。大満足で締めとデザートへ。ラストを飾るのは、大人気のあぶりチーズケーキと、この日は何とラーメン! 実はシェフ、ラーメン屋での修業経験もあります。ラーメン屋の僕も納得のおいしさです。
昼の5種コースは6皿目もOK
ランチには、乾麺のパスタ単品のほか、パスタ5種のコースも。実は食べられる方なら6種目もOKで、サラダとデザートにソフトドリンク飲み放題で2200円。夜も昼もとにかく安いのです(いずれもメニューは日替わり)。
(取材協力・キイストン)
■ZeCT byLm
東京都千代田区神田小川町1―7 神田小川町ハイツ1階
℡03・6273・7747
■麺屋武蔵
1996年創業。現在は青山や新宿、池袋など都内に15店舗を展開。企業とコラボするほか、小学校へのラーメン給食の提供や調理専門学校での出前授業など、新しい試みにも積極的に取り組んでいる。
▽やとぎ・じろう 1976年、埼玉県生まれ。城西大卒業後、一般企業に就職するが、大学時代にハマったつけ麺を日本全国に広めたいとの思いから、24歳で麺屋武蔵に転職。3年後、上野店店長に。2013年、先代からバトンを継ぎ、2代目社長に就任。