これが上場企業「給与のいい会社」トップ110だ! 平均額は603.2万円で初の減少
2022年は賃上げとなるか──。岸田政権は産業界に対し「賃上げ」を要請。サラリーマンにとって給与アップは願ってもない話だが、経営環境は決して良くない。新型コロナは再び感染が拡大し、円安進行で輸入物価は上昇している。むしろ給与はダウンする恐れもありそうだが……。
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コロナ禍で収入格差は広がった。外食やホテル、レジャー産業の業績は悪化し、社員のボーナスはガタ減り。一方、東京五輪やインフラ整備に関わる建設業などは収入がアップした会社も少なくない。
東京商工リサーチが実施した上場企業を対象とした20年度の「平均年間給与」調査によると、平均給与は603万2000円(上場2459社、持ち株会社377社を除く)だった。
「調査開始以来、初めて減少に転じました。コロナ禍で残業は減り、賞与が減少した企業も多かったといえます。その影響が出たのかもしれません」(東京商工リサーチ情報部の坂田芳博氏)
11年度の平均給与は569万9000円。その後、上昇を続け、19年度は614万円にアップしたが、20年度は10万8000円の減少だった(別表①参照)。
ただ、国税庁が公表するサラリーマンの平均給与は440万7000円。それに比べれば上場企業は「いい給与」をもらっている。
日本一の高給取りは独立系M&A仲介会社
そこで持ち株会社を含めた上場企業の「給与のいい会社」を東京商工リサーチ協力のもと大調査した。
その結果は──。
日本一、平均給与の高い企業はM&Aキャピタルパートナーズだった。独立系のM&A仲介会社で事業継承案件を得意としている。
「後継ぎに困っている中小企業の社長は大勢います。そうした需要をうまく吸い上げ、業績は増収増益と絶好調です」(市場関係者)
平均給与は2270万円とダントツ。2位のキーエンス(計測機器大手)が1752万円なので500万円以上の差だ。
3位は不動産のヒューリックで1708万円。以下、三菱商事、マクニカ・富士エレHD(半導体商社)、伊藤忠商事、TBS HD、三井物産、ソレイジア・ファーマ(創薬ベンチャー)、スクウェア・エニックス・HD。この10社が日本を代表する「高額年収トップ10」。総合商社は3社ランクインしている。
1000万円超えは101社
10位以下にも、野村HDやソフトバンクグループ、日本テレビHDと有名企業がズラリと並ぶ。
「相変わらずテレビなどのメディア企業は強い。製薬も、シンバイオ製薬やそーせいグループ、アンジェス、第一三共、中外製薬、武田薬品などがトップ100に名を連ねます。コロナ禍で業績を悪化させた製薬会社は多いですが、社員への待遇面は今のところ影響が出ていないといえます」(前出の市場関係者)
持ち株会社を含めた上位100社はすべて1000万円超えだ。102位の明治HDが999万円と、わずかに届かなかった(別表②参照)。
「ただ、持ち株会社は従業員数の少ないところが多く給与も高額になりがちです。持ち株会社を除くと、1000万円以上の企業は33社となります」(坂田芳博氏)
中央値(1位と最下位の真ん中)は587万9000円(持ち株会社除く)。この金額が上場会社の“標準”というわけだが、500万円未満も7社あった。
昨年は電気代やガソリン代などの上昇が続いた。今年も小麦粉やマヨネーズ、冷凍食品、パン、しょう油、コーヒーなどが相次ぎ値上げされる。
“官製春闘”でも何でもいいから、給与アップを実現してほしい。