ペットのX線検査を勧められたら…覚えておきたい「必要」と「不要」の線引き
夜間診療で不要な検査をされる恐れがあることは前回、説明しました。では、いろいろな検査が必要なときはどんなケースか。今回は、おなじみのX線を掘り下げてみましょう。
ヒトでもおなじみですが、動物でも一般的な診療で役立つのは骨折や脱臼など骨の異常です。この場合、痛みも激しいため、鎮静剤を必要とすることが少なくありません。
ですから、跳びはねたり、ぶつかったりしてケガをして違和感がみられるときは、X線検査が有効です。困るのが、内科的な原因が考えられるケースでしょう。
あるシニアのネコちゃんは副鼻腔炎で、口呼吸のクセがあるため、ガスを大量に吸い込んでいました。
それで鼻炎症状や咳などもあって、他院を受診したところ、X線や血液検査で異常ナシとなり、「MRI検査も」といわれて、当院に来られました。
若いネコちゃんならともかく、シニアでは胃腸の動きが低下します。そこにガスが吸い込まれると胃腸アトニーと呼ばれる症状を起こします。食欲不振や吐き気、嘔吐などは典型的な症状ですが「シニア」と「副鼻腔炎」という条件が重なると、X線をはじめとするフルコース検査をせずとも触診で十分把握できます。それで分かれば腹部の動きをよくする処置で対応できるはずで、多くの検査は必要ありません。