“備蓄米ラッシュ”に現場から悲鳴…政府「スピード重視」アピールの裏で精米工場のキャパが逼迫
“備蓄米ラッシュ”のシワ寄せは、現場に及んでいるようだ。
随意契約で放出する備蓄米が今月29日に大手小売業者に引き渡され、早ければ今週末にも店頭に並ぶ見通しだ。今回の放出では、集荷業者や卸売業者を介さないことで、中間マージンの圧縮や迅速な流通を目指す狙いがある。
しかし、精米作業が大きな課題となっている。備蓄米の多くは長期保存が可能な玄米の状態で引き渡され、精米は購入を申請した業者に任されている。大手小売業者の多くは自前の精米設備を持っていないため、コメ卸などの精米工場に頼らざるを得ない状況なのだ。
実際に、精米工場には多くの依頼が寄せられており、「争奪戦」の様相になっているという。
現場からは、困惑の声が聞こえてくる。関東地方に大規模な工場を持つ精米業者の担当者はこう話す。
「銘柄米と前農相の時に放出された“江藤米”の精米作業で、すでに工場はフル稼働体制です。ただでさえキャパシティーがいっぱいいっぱいの中で、新たに放出された“進次郎米”の精米をどこまで請け負えるかは不透明です。それでも『早く早く』と速度重視の精米作業をせかされるものだから、現場はパニック状態。職員にはさまざまな負担がかかっている。また、トラックの運転手不足が慢性化しており、輸送能力という点でも限界がある。備蓄米を安定的に供給していけるかどうかは、かなり微妙です」