新型コロナの“ワクチンデマ”は1000人の命を奪う?
2019年12月に初めて報告された新型コロナウイルス感染症は、世界中の人々の健康状態や、各国の社会・経済に深刻な影響を及ぼしました。一方で、新型コロナウイルスに対するワクチン開発も急ピッチで進められ、日本では21年2月から接種が開始されています。
ただし、国内における新型コロナウイルスワクチンの接種状況と、同ウイルス感染症による死亡率の関連性については、質の高い研究データが限られていました。そのような中、新型コロナウイルスワクチンの接種と死亡者数の関連性を検討した研究論文が、ワクチンに関する専門誌の電子版に25年5月20日付で掲載されました。この研究では、国内の新型コロナウイルスの感染者数や死亡者数、ワクチンの接種状況、ワクチンに対する偽情報などのデータが網羅的に収集されました。得られたデータから、高精度で死亡者数を予測できる数理モデルが開発され、ワクチン接種をめぐるさまざまな状況と、死亡者数の関連性が分析されています。
分析の結果、ワクチン接種によって避けられた死亡者数は、21年において3万117人と推定されました。しかし、ワクチンに関する偽情報の影響を適切に管理できなかった場合、死亡者数の推定値は1020人増加しました。一方、偽情報が適切に管理できた場合、死亡者数の推定値は431人減少しました。