118年ぶりの新たな刑罰 「拘禁刑」は「懲役」や「禁固」とどこが違うのか
──主文、被告人を拘禁刑10年に処する──
今後、こうしたニュースを耳にする機会が増えることになりそうです。“こうきんけい”という言葉は耳慣れないかもしれませんが、6月1日、刑罰制度に大きな変化が訪れました。明治40年の刑法制定以来使われてきた「懲役」と「禁錮」が廃止され、新たに「拘禁刑」という刑罰に一本化されたのです。
従来、懲役は「刑務作業が義務」である一方、禁錮は「刑務作業が任意」であるとされていました。しかし、実際には、禁錮受刑者の81.8%が希望して作業に従事しており(2024年3月末時点)、処遇上の違いはほとんどなくなっていたのが実情です。このような実態との乖離を是正し、処遇の柔軟性を高める目的で導入されたのが拘禁刑です。
拘禁刑では、受刑者に対して、「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる」(刑法12条3項)とされています。すなわち、刑務作業に加えて教育、就労支援、薬物や性犯罪の依存症治療など、受刑者に応じた多様なプログラムを組み合わせることが可能になります。受刑者に応じた処遇が可能になることで、再犯防止や円滑な社会復帰につながると期待されています。