シニアのペットの骨折はきれいな整復が不要なときもある
先日、かかりつけの飼い主さんが当院を出られたときにリードが抜けてしまい、弾みでワンちゃんが飛び出し、車にぶつかる事故がありました。待っていた方には事情を説明してすぐに診察すると、右後肢に力が入らずに立ち上がれず、腹部の圧痛を認めたものの、内臓に損傷はありませんでした。私の見立てでは、強打による腰椎から骨盤にかけての骨折や椎間板ヘルニア、脊髄損傷などが疑われました。
そうなるとマヒや骨折の確認が必要で、脊髄損傷をはじめ場合によっては緊急手術も必要です。連携する2次診療病院に連絡すると、受け入れ可能とのことで、対応していただきました。そのときにお願いしたこともあります。診察時に不明なことや手術などの可能性があったときは、その場で決めず、私に連絡をしてほしいということです。
担当した獣医師からその日のうちに連絡がありました。話を聞くと、打撲による神経の圧迫はありましたが、幸い脊髄損傷や神経の断裂はなく、腸骨の片側が骨折していたということです。
このようなケースで2次診療の獣医師は、骨折部位を手術で修復することを第1選択にすることが多いですが、われわれ町の獣医師は必ずしもそうではありません。排泄困難などがなければ自然に骨がくっつく可能性を探ることもあります。その要因の一つが主にワンちゃんの年齢です。