清瀬の人情酒場「みゆき食堂」の揚げ出し豆腐はうまいのなんの
最近、アタシの好きな酒場食堂に行っていない。コロナ禍以降、昼からの通し営業の店は増えたけれども、まだまだ少ない。時間の融通がきく還暦世代は午後3時ごろから食堂のおかずで一杯やりたいのである。
アタシ的には昼下がりから、今ならカキフライなんぞを肴に燗酒をチビリといきたい。そう思うと矢も盾もたまらず、西武池袋線に飛び乗り、清瀬に向かった還暦男。
南口ロータリーからクモの巣のように延びるいくつもの道の一本に狙いを定め、昼過ぎから通しで飲める「みゆき食堂」に向かった。
昭和45年、店主の尾崎彰一郎さんご夫婦が創業。以来、酒場食堂として地元に愛されてきた。それがあの番組に登場したことがきっかけで全国的に知れ渡ることに。つい最近もテレビ東京で大々的に取材されるほどの有名店だ。
常連ばかりで敷居が高いかも……初めてのアタシは恐る恐る年季の入ったガラス戸を開けた。両サイドに10脚ほどの4人掛けテーブル、壁にはビッシリ黄色の短冊が張り巡らされている。そこにはテレビで見たまんまの空間が広がっていた。
予想と違ったのは対応してくれた娘の彰代さんが想像以上に気さくな人だったこと。「お好きな席にど~ぞ」という明るい声にホッとして、左奥のテーブルに陣取る。上から暖房の風がまともに当たる。すると彰代さんが「もろに風に当たっちゃうから弱めますね」と調節してくれた。なんと親切な! このタイミングで素性を明かすと「ウチみたいな店でいいんですか。なんでも聞いてくださいね」。
礼を言って、まずはホッピー(400円)と揚げ出し豆腐(300円)とポテサラ(200円)を。出てきたホッピーに度肝を抜かれた。なんとジョッキの8分目まで焼酎が注がれているではないか。彰代さんが笑って話す。
「うちは焼酎1合きっちり入ってますから。初めてのお客さんが濃いめって言うと、まずは見てからってお出しすると黙っちゃう(爆笑)」

















