愛犬の手術後にできものが…生体吸収糸がアレルギーを起こすケースも
今回、傷口が開いて肉芽組織ができたのは、一瞬、ワンちゃんが傷口を舐めたためと思いましたが、カルテを読み返してハッとしました。実はこのワンちゃん、アレルギー体質がひどく、混合ワクチンや狂犬病ワクチンを接種するたびにアレルギー反応として胃腸炎を起こしていたほか、フードもタンパク源が合わず、アレルギー性腸炎で栄養吸収障害をきたしたことがあったのです。
その体質を踏まえると、傷口が開いて肉芽組織ができた原因は、舐めたことではなく、生体吸収糸の可能性が高まります。その証拠に肉芽組織の中に吸収糸が溶けずに残っていました。このままでは、組織球腫の代わりに肉芽組織の塊が同じしこりのように残ってしまうため、再手術で肉芽組織を除去しました。
縫合は、吸収糸を使わず、サージカルワイヤという金属製の糸を使いました。ワンちゃんは、接触性の金属アレルギーがないといわれるためです。皮膚を深く隙間ごと頑丈に縫合することで、吸収糸による密着度のない部分を補強したところ、無事に完了。
■50頭に1頭くらいの割合