愛犬の手術後にできものが…生体吸収糸がアレルギーを起こすケースも
先日、かかりつけの方がオスのラブラドールレトリバーを連れてこられました。右足の肉球の外側のできものを気にして舐めていたようで、その周りが皮膚炎を起こして腫れています。一般に薬の内服で炎症は治まりますが、このワンちゃんは盲導犬を目指していて将来、その訓練に支障をきたすとよくないため、できものを手術で切除することになりました。
できものは、組織球腫という良性の腫瘤。良性ですから悪くはありませんが、場所によっては歩きにくくなったり、気にして舐めたり。今回は後者で将来のことを考えての手術です。
皮膚を残して腫瘤を丸ごと切除すると、空洞ができるため、そこを生体吸収性の糸で埋め、密着させてから、非吸収糸で皮膚を縫合。1週間後に抜糸する予定でした。ところが抜糸を待っているときに、傷口が開いてしまいました。麻酔をかけて再度縫合し、抜糸を延期しましたが、手術したところがジュクジュクとして炎症液が漏れ、内部の肉芽組織が隆起してきたのです。
肉芽組織とは、外傷などで組織が欠けたところにできる新生組織で、皮膚にできるのが一般的。ヒトでも傷痕が残り、隆起することがあります。それが肉芽組織です。