JICAの「ホームタウン」事業撤退で損なわれる国益…排外主義的なデマ拡散で苦情殺到の異常事態
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は「こうしたことが続けば、日本の国益を損ねることになる」と、こう続ける。
「交流事業の対象だった国は天然資源が豊富なだけでなく、今後経済発展が見込まれ、日本企業の新たな進出先になる可能性がある。国際交流事業の縮小は、日本の弱体化につながる。また、中国やロシアといった『専制主義国』に、アフリカ諸国に積極進出する隙を与えてしまう。彼らの国際影響力を高めてしまうのです」
今回の混乱は、今後も尾を引きそうだ。
「デマ拡散により政府の国際交流事業が撤回に追い込まれるのは、極めて異例。悪しき前例になりかねません。電話などの抗議作戦による成功体験が、今後は他の対象に広がっていくことが懸念されます」(五野井郁夫氏)
文句を言ったもん勝ちで、日本の国際競争力の低下を招くのは、あまりにむなしい。「今後も国際交流を促進する取り組みは支援していく」(JICAの田中明彦理事長)の言葉が、せめてもの救いだ。
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排外主義的は政治の世界にも蔓延しつつある。【もっと読む】【さらに読む】で詳しく報じている。