参院選中に参政党「排外主義カルト」の実態をマトモに報じなかった大手メディアの生ぬるさ

公開日: 更新日:

 英BBC放送に「日本人ファーストの極右政党が躍進」と報じられた参政党の伸長は、ひと言でいうと世も末だ。

 参院選の投開票から一夜明けた21日、神谷宗幣代表と当選者らは東京・新橋駅前で街頭演説。高揚感いっぱいにマイクを握った神谷代表は「(3年前の)前回1議席だったんですけど、今回は14議席いただきました。ありがとうございました!」と叫び、衆参両院を合わせて「50議席を目指す」と気炎を吐いた。参政の国会勢力は衆院3議席、参院15議席の計18議席。ここから2倍超なんて、マトモな有権者の目の黒いうちは、あってはならないことだ。

 排外主義的ポピュリスト集団は、17日間の選挙戦で数えられないほどのヘイトを吐き散らかした。

 神谷代表が第一声で「子どもを産めるのは若い女性しかいない。これを言うと〈差別だ〉と言う人がいるが、現実だ」と暴言をかましたのを皮切りに、お世辞にも中学生レベルとも言えない憲法草案への批判について「あほうだ、バカだ、チョンだとバカにされる」と発言。

 参政陣営の街宣にカウンターが集まり、地声で抗議の声を上げるのは当然なのだが、候補者は口をそろえて「選挙妨害だ」とデタラメで抑え込もうとし、「非国民」と罵るヤカラまでいた。

■当初から報じたのはTBS系「報道特集」や神奈川新聞くらい

 街宣車に乗ったウグイス嬢がカウンターに向かって「ニッポンが嫌ならばニッポンから出ていけばいいじゃないですか。ここはニッポンでございます」と叫んだ問題もあった。参政の面々が良識の府にふさわしいとは断じて言えまい。

 こうした実態を当初から報じたのはTBS系「報道特集」や神奈川新聞くらい。民放の開票特番で一部のキャスターが神谷代表に厳しい質問を浴びせたことが話題になっているが、チト遅すぎた感はある。

 カルト問題に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏はこう言う。

「昨秋の衆院選と比べれば、神谷氏の暴言や参政党のカルト性に関する大手メディアの報道が増えた印象です。ファクトチェックも定着してきた。ただ、十分かと言えば疑問は残る。例えば統一教会(現・世界平和統一家庭連合)をめぐる問題は、銃撃事件が起こるまで見過ごされてきた。参政党は反ワクチン、陰謀論、スピリチュアル系など有象無象の寄せ集めで、あらゆる面でストッパーがない集団です。既成政党の一部にも懸念はあるものの、参政党は別格で奇行が目立つ。メディアが批判的視点を持って継続して報道しなければ、社会の底が抜けてしまう怖さがある」

 立憲民主党小川淳也幹事長は開票特番で、国民民主党や参政党を念頭に「他の野党に対して懐深く、謙虚に、さまざまな呼びかけ、交渉、協議を持ちかけていく」といっていたが、だいぶおめでたい。日本維新の会から公示前に滑り込み入党した参政党の梅村みずほ議員がX(旧ツイッター)に〈立憲民主党が政権を取れば日本民族は原住民化するでしょう〉と投稿したのを知っているのか。そもそも「原住民化」って何なのか。民度を軽く見ているのは、どこの誰か。

  ◇  ◇  ◇

 今回の参院選では旧安倍派の「裏金候補」15人が有権者の審判を受けた。開票結果はナント、10勝5敗の勝ち越しに。●関連記事【もっと読む】『自民旧安倍派「裏金候補」15人の当落は「10勝5敗」の勝ち越し…外国人政策の陰に隠れた「政治とカネ」』で詳報している。

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    「ポスト石破」最右翼の小泉農相“進次郎構文”また炸裂の不安…NHK番組で珍回答連発

  2. 2

    麻生最高顧問「石破おろし」へ怪気炎、高市早苗氏が“蠢動”も…自民党臨時総裁選では空振り確実なワケ

  3. 3

    9.8決戦を目前に過熱する「石破おろし」情報戦…飛び交う総裁選前倒し「賛成」の票読み

  4. 4

    石破首相は退陣か、総裁選出馬か、衆院解散か? 総裁選前倒し高まり党内アンチと全面対決の様相

  5. 5

    「石破おろし」強烈すぎる“踏み絵”に広がらず 読売調査でも過半数に届かず…焦点は2日の総括委の結果

  1. 6

    「石破おろし」めぐる抗争激化で強まる衆院解散風の本気度…永田町では怪情報が飛び交う

  2. 7

    いよいよ総括報告と両院議員総会…「石破おろし」の賛否“号砲”で自民党の分断が加速する

  3. 8

    混迷する伊東市 学歴詐称市長「居座り」のモチベーション…不信任可決でもまだ“失職への通過点”

  4. 9

    高市派「石破おろし」巻き返しに漂うヤブヘビ感…杉田水脈氏らが保守系月刊誌で開陳しためちゃくちゃ論調

  5. 10

    小泉純一郎と山崎拓が石破首相に授けた「郵政解散」の極意…旧安倍派残党は“抵抗勢力”、徹底締め上げ進言

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大の里、豊昇龍の両横綱も戦々恐々…「新怪物」加入で躍進止まらぬ伊勢ケ浜部屋の巨大戦力

  2. 2

    84歳の五月みどりが最期のパートナーと過ごす“やすらぎの刻”…経営するギフトショップは閉店

  3. 3

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  4. 4

    星野監督は中村武志さんを張り倒した直後、3ランを打った隣の俺にも鉄拳制裁…メチャクチャ痛かった

  5. 5

    ヤクルト村上宗隆の「ドジャース入り」を阻む大谷翔平と正三塁手マンシーの壁

  1. 6

    中村玉緒は「パチンコと勝新太郎はやめられません」と豪快に宣言した

  2. 7

    ドジャース佐々木朗希は「ひとりぼっち」で崖っぷち…ロバーツ監督が“気になる発言”も

  3. 8

    元幕内照強の“しょっぱい犯罪”に角界も呆れた…トラブル多数現役時代の「ヤンチャ」な素顔

  4. 9

    小祝さくらは「加齢の影響」漏らしていた…ツアー6週連続欠場の深刻度

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の才能腐らす「メンタルの病巣」…マイナーでの大炎上にロバーツ監督もバッサリ