【緊急連載#1】「重大虐待防止」優先の死角

公開日: 更新日:

 巨人阿部慎之助前監督(47)が長女(18)への暴行容疑で現行犯逮捕された事件は、児童相談所が抱え込む限界を改めて浮き彫りにした。日本の児相はトラブルのあった親子を「まず引き離す方向」に動く。子どもの安全が最優先の制度設計だからだ。重大事故防止の観点から、危険が少しでも疑われると子どもの言動に沿った判断に傾く。

 虐待の通告後、子どもが死亡する事件が発生するたび、世論は「なぜ、児相は保護しなかったのか」「なぜ家庭に戻したのか」という批判を児相に向けてきた。そのため児相は取り返しがつかない事態をまずは避けるという前提で動く。結果、状況証拠が完全でなく、事実関係が曖昧であっても一時保護や親子分離、警察通報を優先してきた。

 特に児相が重視するのは子どもの証言だ。「怖い」「殴られた」「家を出たい」などの心情を吐露した場合、後になって「誤った見解」と分かっても、安全確保を優先するため迅速保護、分離措置をとる。可能性は低くても「重大事案だった場合の放置リスク」を防ぐためだ。分離、保護しないで家庭に戻した子どもが虐待事故にあえば行政的な責任追及を受け、世論の厳しい批判に加え、行政訴訟につながる恐れもある。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    Netflixで話題「古畑任三郎」 伝説の神回《動機の鑑定》に描かれる古美術界のリアリティーに迫る

  2. 2

    高市首相が今上陛下を「こんじょうへいか」と呼んだのは「不敬」なのか?

  3. 3

    ストレス過多なコールセンター業務 それでも「孤独よりマシ」というシニアの「底なしの孤立」

  4. 4

    今も続く「皇室典範」は出来の悪い法律…男の側に不妊の原因を求める発想がなかった時代の産物だ

  5. 5

    下高井戸「月見湯温泉」は新宿からすぐの人情味あふれる銭湯

  1. 6

    「派遣でコールセンター」とは正直に言えない…借金返済のため同業を掛け持ちするシニア男性の悲哀

  2. 7

    今や65歳以上の4人に1人が働く社会に…再雇用は当たり前、社員と同一労働、同一賃金への見直しも進む

  3. 8

    税収が前年度比「9兆円増」の異様とカラクリ…恩恵なく生活が苦しい庶民から飛び交う怨嗟の声

  4. 9

    「コンサル」名乗るシニアは「ほぼ無職」 それでも「自分は現役ホワイトカラー」の仮面を外せないオジさんたちの終わりなき戦い

  5. 10

    オランダ訪問の晩餐会での天皇のスピーチと雅子皇后…"旧宮家"に求められる「皇室外交」と担い手の難しさ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    Netflixで話題「古畑任三郎」 伝説の神回《動機の鑑定》に描かれる古美術界のリアリティーに迫る

  2. 2

    メジャー屈指の不人気球団が佐々木麟太郎を指名…“銭ゲバ”マーリンズの黒歴史

  3. 3

    関根勤「枕営業」証言の衝撃…マリエ『すべてはつながっています』発言の真意

  4. 4

    活動終了「嵐」メンバー「消える人」と「生き残る人」…“一番先行きが厳しい”のは?

  5. 5

    高市早苗が「2025年のバカ」第1位!不名誉トップ10に麻生太郎、“ウンコにタカる銀蠅議員”らがランクイン

  1. 6

    ビートルズよりもストーンズよりもすごいバンド、ラトルズ!

  2. 7

    高市首相2カ月ぶり党首討論「嘘と居直り」のデタラメ60分…国民民主に猫なで声、公明には高圧

  3. 8

    高市早苗氏が地元奈良でブチかました“敵前逃亡”…挙げ句に吐いた苦しすぎる“言い訳”

  4. 9

    ドジャース大谷翔平“満身創痍”の深刻度…本人が「ムリ」と判断し前半戦最終登板と球宴を回避

  5. 10

    シングル盤を寄せ集めたB面がマジカルで実に楽しい