【緊急連載#1】「重大虐待防止」優先の死角
巨人の阿部慎之助前監督(47)が長女(18)への暴行容疑で現行犯逮捕された事件は、児童相談所が抱え込む限界を改めて浮き彫りにした。日本の児相はトラブルのあった親子を「まず引き離す方向」に動く。子どもの安全が最優先の制度設計だからだ。重大事故防止の観点から、危険が少しでも疑われると子どもの言動に沿った判断に傾く。
虐待の通告後、子どもが死亡する事件が発生するたび、世論は「なぜ、児相は保護しなかったのか」「なぜ家庭に戻したのか」という批判を児相に向けてきた。そのため児相は取り返しがつかない事態をまずは避けるという前提で動く。結果、状況証拠が完全でなく、事実関係が曖昧であっても一時保護や親子分離、警察通報を優先してきた。
特に児相が重視するのは子どもの証言だ。「怖い」「殴られた」「家を出たい」などの心情を吐露した場合、後になって「誤った見解」と分かっても、安全確保を優先するため迅速保護、分離措置をとる。可能性は低くても「重大事案だった場合の放置リスク」を防ぐためだ。分離、保護しないで家庭に戻した子どもが虐待事故にあえば行政的な責任追及を受け、世論の厳しい批判に加え、行政訴訟につながる恐れもある。
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