著者のコラム一覧
若月澪子ルポライター

1975年生まれ。ジャーナスリト。大学卒業後、NHK高知放送局・NHK首都圏放送センターで有期雇用のキャスター、ディレクターとしてローカル放送の番組制作に携わる。結婚退職後に自殺予防団体の電話相談ボランティアを経験。育児のかたわらウェブライターとして借金苦や終活に関する取材・執筆を行う。生涯非正規労働者。ギグワーカーとしていろんな仕事を体験中。

これは「多死社会を先取りした街」の姿だ! 「地域全体が老人ホーム」になったドヤ街「山谷」で、オヤジさんたちがカラオケを楽しむ居酒屋に突撃してみた

公開日: 更新日:

「掟」を知らないまま、異世界に踏み込んでしまった

 カウンターに座る70代くらいのオヤジさんが、中央に据えられた大画面に映る歌詞を追いながら気持ちよさそうに歌っていた。歌声はこぶしが効いて、なかなか上手い。

 他には60~80代くらいのオヤジさんたち数名と高齢女性が1名、各々に席を取って飲んでいた。80歳くらいの「看板娘」が、足を引きずりながら料理や酒を運んでいる。

 壁の短冊には、「味噌汁200円」「厚揚げ350円」「らっきょう400円」「柿ピー300円」と、価格も内容も素朴なメニューが並んでいる。

 隣にいたお婆さんに年齢を聞いた。彼女はタバコの煙を吐きながら、焼酎をチビチビと飲んでいる。

「アタシ? 82歳」

「どんなお仕事されてきたんですか?」と尋ねたところ、「アタシ、そういうの嫌い!」と言って、プイとそっぽを向かれてしまう。

 ヤボな質問だった。筆者たちはここの「掟」を知らないまま、異世界に踏み込んでしまったようだ。

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