著者のコラム一覧
若月澪子ルポライター

1975年生まれ。ジャーナスリト。大学卒業後、NHK高知放送局・NHK首都圏放送センターで有期雇用のキャスター、ディレクターとしてローカル放送の番組制作に携わる。結婚退職後に自殺予防団体の電話相談ボランティアを経験。育児のかたわらウェブライターとして借金苦や終活に関する取材・執筆を行う。生涯非正規労働者。ギグワーカーとしていろんな仕事を体験中。

これは「多死社会を先取りした街」の姿だ! 「地域全体が老人ホーム」になったドヤ街「山谷」で、オヤジさんたちがカラオケを楽しむ居酒屋に突撃してみた

公開日: 更新日:

「どうせ死ぬんだからよぉ」

「イヤあ、大変だった!ヤクザに殺されるとこだった!」

 突然、大きな声で70代くらいのオヤジさんが店に飛び込んできた。釣り用の帽子とベストを羽織っている。

「ここの傷を見ろよ!」

 オヤジさんは帽子を取り、額の傷を一生懸命、80代の看板娘に見せている。二人は入口付近でゴニョゴニョ話すうちに、店の外へ出ていった。傷の真相は不明だ。

「どうせ死ぬんだからよぉ」

 黒地に金色の刺繍が入ったジャージ姿のオヤジさんが一人でつぶやいている。この街の老後は、全く牧歌的ではないようである。

(中編につづく)

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