著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。最新刊は「酒好きの記」(集英社新書)

(48)時には地元酒を

公開日: 更新日:

 9月の初旬は九州・佐賀へ旅をした。朝の飛行機で福岡に入り、迎えの車で佐賀へ入ると、ちょうど昼どき。鳥栖駅のホームにあるうどん屋の客になった。気温が35℃を超える暑さの中で、熱々のうどんを啜ると、汗が滝のように流れ、疲弊したが、それはそれでよかった。夕刻からの酒がうまくなったからだ。

 18時ごろ飲み始めて、2軒目で腰を上げたときには日付をまたいでいた。翌日もまた、日付が変わるころになってスナックに入った。70代もそろそろ終盤という年ごろのママは、底抜けに明るい人で、苦労した昔話を楽しく聞かせ、愛燦燦を熱唱してくれた。私は、同行のデザイナーと、フォークデュオ「風」の歌を5曲も6曲も歌って飽きなかった。何年かに一度、こういう夜がある。

 3日間の予定を終えて帰京すると疲れが出た。こういうとき、もう歳だから、いい加減にしなければと思うが、家へ帰ったなら帰ったなりに、近所で飲みたい気持ちも芽生えてくる。ご近所酒場への旅情が生まれるのかもしれない。

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