弁護士・水野祐さん<下>
二木 そもそも弁護士になろうと決めたきっかけは何ですか。学生時代から目指していたのですか。
水野 大学(慶応大法学部)では映画サークルや音楽サークルなどに入っていました。もっとも、酒を飲んだり、ライブや映画館で遊んでいただけでしたが(笑い)。高校生の頃からサブカルチャーには興味がありましたが、弁護士になるなんて考えていませんでしたね。
二木 そんな学生生活の中で、どんな変化があったのでしょうか。
水野 映画サークルでは一応、監督として作品も作りました。周囲には当時からクリエーティブな活動で食っていくんだという友人もいて、すごいなと、はた目で見てましたね。そういう中で、クリエーターを囲む創作環境に興味を持つようになりました。ゆくゆくはプロデューサーとか編集者とかクリエーターをバックアップする仕事に就ければと思っていました。
二木 それがなぜ弁護士志望に?
水野 そのころ米国の法学者ローレンス・レッシグ先生の「CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー」(翻訳=山形浩生、柏木亮二)というサイバー法に関する歴史的名著の翻訳が日本でも出版されて、それを読んだんです。自分の時代に影響を受けたカルチャーとネットと法律が交錯して、「今はこういう時代なんだ」「こんな視点があるんだ」と気付いたのです。